5.やまのまつり館 |
「山はじめ」 正月の二日、九時か九時半頃山に入る沢の入り口に山ノ神が有る。そこに供え物をする。 ・半紙に包んだおさんぐ(洗米) ・塩 ・お頭付きの魚(海腹川背といい、海の魚は腹を神側に、川の魚は背を神側に向ける。海のものも、川のものも頭は左に置く。) ・お神酒(細目の竹でお神酒筒を作る。左白右赤の水引を掛け、二本合わせて並べて半紙で帯を巻き、水引か麻縄でしばる。お神酒を吊るすように釘等打ってあるので、そこに吊るす。) 「野猿講」 二月初午の日は山の神様の日。山の神様が山を観て歩かれる日なので山仕事は休み,大山の阿夫利神社に参り、供え物を供える。 ・おさんぐ、塩、魚(一人一尾、350〜500円位の鯛) ・一人一升の餅米(餡こを買っていって大福を作る) ・三合か五合の供え餅を二つ作る(帰る時切り分けて持ち帰る) ・野のもの(白菜、大根、人参、牛蒡、里芋など) ・海のもの(干しスルメ、鯖の開きなど) 12時か1時ころ座敷きを開く。(ハンペン、ちくわ、里芋、人参などの煮染めを持ち寄る。)その日は阿夫利神社の下社の裏に泊まって翌日索道の手入れをする。大山不動に食物など上げる。
「土入れ(どいれ)」 木出し(搬出)時の神事。伐採木を集材機やそりで山の下(土場)に引き出すなど段取りがついてから、初荷が出る時に行なう。 ・暦でいい日を決める(申・仏滅を避け友引・大安の日を選ぶ) ・神主に幣束(へいそく)を切ってもらう。幣束は茅の芯か篠竹につける。3本(長いもの)、5本(中ぐらい)、7本(短いもの)は梵天(ぼんてん)飾り用。1本をお祓い用に作る。 ・飾り幣束は稲藁で作った丸い束に刺す、奥に3本、その前に5本、又その手前に7本を刺して飾る。(階段状になる) ・梵天竿は、末口(梢側の切り口)3寸から3寸5分位、長さ3間位の丸太。 ・梵天飾りを作る。 土場を手前、山を背にして、左に竹、右に梵天竿。竿のてっぺんに幣束飾りを取り付ける。竹と竿の間にしめ縄を張る。竿の根元に台をしつらえて、台の上に供え物を飾る。 ・供え物 お神酒(お神酒筒に入れて)、塩、お祓い用御幣重ね餅(一人一升)、野のもの(根菜)、海のもの(お頭付きの魚)。餅など食べ物は、当日、宿をする仲間の家の床の間に下げて飾った。神主に来てもらった時は、神主に持ち帰ってもらった。 当日、元締めから熨斗に包んだ酒代が出て、宿をする仲間の家で祝った。元締めには餅2〜3升をお返しした。
「中土場」 土入れの飾りは仕事が終わるまで飾っておき、神事の物は捨てないで、山の清浄な場所を見つけて焚き上げてお神酒を掛けた。一土場の木出しに1年3ケ月かかったこともある。長引く時は、途中で神事を行なうこともあり、「中土場」と言った。
「山じまい」 山の仕事は12月31日まである。最後の日に、山の神様にコップ一杯のお神酒と榊を供え、『山の仕事が終わりました。』と報告した。
※参考資料 西川木楽会広報誌「ユガテの森から」9 山仕事昔語り 中里吉平さんに聞く より |